「お久しぶりです、藤堂さん」
「やぁ、一輝。本当に久しぶりだね」
俺のいるテーブルに歩み寄り、手を挙げた――その人。
藤堂 伊織(とうどう いおり)。
顔だけ見れば女子が好きそうな爽やかイケメンだが、髪は肩まで長い銀髪だ。一つ括りにしたり外したり。自由にやっているらしい。
美月ちゃんと同じA校。3年生。
そして、
Moonの総長代理だ。
「ビックリしたよ。一輝が珍しく電話して来たと思ったら、あの春風生吹と会わせてくれるって言うんだから」
「いや、俺が会わせたいんじゃなくて生吹本人が、」
そう言いかけた時だった。
「初めまして、春風生吹です。わざわざ来てもらってすいません」
俺にセリフを被らせて喋る生吹。
いま会ったばかりだってのに、何を焦ってんだ?コイツ。



