最強王子とフェンス越しの溺愛キス



青い顔をした放課後。

そして、

何故か赤い顔をしてファミレスに戻ってきた、今――





「お前、いい加減にしろよな。どれだけ待たせたら気が済むんだよ」

「……悪い」

「なんか幸せなことがありましたってツラやめろ。腹立つ」

「……」




それに関しては何も言わなかった生吹。

クソ、本当に何かいい事があったんだな。

夜空の下、めでたくキスでもしましたか?ってな。


……まぁ、そりゃないか。


羨むのもそこそこにして。

俺は生吹以外の、ある人物に目がいく。



「ま、いーか。ちょうど来たぜ。

お前の会いたい人がな」

「……あぁ」



赤い顔から一点。

生吹の目の色が変わり、奴の周りの空気がピリついた。



「ほんと……ストレートな奴」



言い換えれば、イノシシみたいな奴。

王子様と噂される生吹を、俺はいつも、こんな事を思いながら見ている。