桜のティアラ〜はじまりの六日間〜

 紙袋をいくつか抱え、絵梨と美桜が満足気にフードコートに戻ると、まだアレンは数人の女の子達に囲まれていた。

 「うわー、まだまだ大変そうだね」
 
 どうしようか、もう少し待つ?と相談していると、二人に気付いたアレンと仁が、女の子達に何か言ってから立ち上がった。

 「ごめんごめん。お待たせ。どう?買い物出来た?」
 「うん、ほら。こーんなに!」
 アレンの言葉に絵梨が両手いっぱいの袋を持ち上げて見せる。

 「それは良かった。じゃあそろそろ行こうか」

 そう言ってアレンは、後ろのメイソンに目配せした。
 すぐさまメイソンは、絵梨と美桜が持っていた荷物をさっと持つ。

 「あ、ありがとう」
 あまりにスマートな動きだった。

 「センキュー、ジェントルマン」
 絵梨が気取って言い、美桜はたまらず笑い出す。

 帰りの馬車でもおしゃべりは止まらず、あっという間にフォレストガーデンに帰って来た。

 「ああ楽しかった!ありがとうアレン」
 馬車を降りてからそう言う絵梨に続いて、美桜も、ありがとうとお礼を言う。

 「こちらこそ、楽しい一日だったよ」
 じゃあ俺はこれで、とアレンは馬車に戻っていく。

 「このあとも仕事か。無理するなよ」
 仁が声をかけると、アレンは軽く手を挙げて応えてから馬車に乗り込んだ。

 三人は手を振って馬車を見送った。