桜のティアラ〜はじまりの六日間〜

 「美桜、あのさ。ちょっと聞いていい?」
 「は、はい」
 「美桜はさ、ここの仕事好き?」
 「はい。大好きでした」
 「嫌な事とかなかった?辞めたくなったり」
 「辞めたいと思った事なんて、一度もありません。落ち込む事はあっても、仲間や先輩のおかげで、いつもすぐに立ち直れました」
 「この職場で働いてて、良かったって思う?」
 「はい。ここでの経験や、出会えた仲間達は、私の人生の宝物です」
 「じゃあ、辞める必要なんてある?」

 え?と美桜がためらっていると、由香は美桜の隣のアレンに声をかける。

 「えーっと、アレンさん、でしたっけ?」
 「はい」
 
 そう言ってアレンが一歩由香に近づくと、
「ああー!ダメダメ!ちょっと下がってて。イケメンなんだから」
 後ろの机をガタガタさせながら後ずさり、両手を出してアレンを遠ざける。

 「あ、はい。すみません」
 
 アレンがまた元の位置に戻ると、よろしい、と由香は頷く。