桜のティアラ〜はじまりの六日間〜

 美桜は小さく深呼吸すると、アレンに、ドアの近くで待っていてと頼み、一人でオフィスに入っていく。

 「失礼します」
 
 入口でお辞儀をすると、由香とみどりが振り返って、パッと笑顔になった。

 「美桜!おかえりー」
 「早かったね。もっとゆっくりしてきても良かったんだよ」
 「いえ、あの、本当にありがとうございました。突然のわがままを聞いていただいて」
 「いいのいいの。私達だってどーんと背中を押しちゃったしね」
 「いえ、感謝しています。ありがとうございました。これ、お土産です」
 「あー、頼んでた買い出しね!ありがとう!」
 「それで?どうだったの?」
 「そうそう、お土産話の方は?」
 「あ、はい。それなんですけど…」
 
 身を乗り出してくる由香とみどりに、美桜は少しためらうように黙り込む。

 「…あ、いや、別に無理に話さなくても。ねえ、みどり?」
 「そうよ、うん。いいのよ、美桜」
 
 元気がない様子の美桜に、もしやうまくいかなかったのかと、由香とみどりは焦って取り繕う。

 「いえ、お話します」
 
 そう言うと、美桜はドアを振り返って、アレン、と声をかけ、手招きした。