「い、今なんと?」
 
広間で朝食の席に着いていたジョージは、思わず立ち上がりかけた。

普段は決してそんなことをしないクレアが、ガシャンと食器の音を立てる。

広間にいる皆が、息を詰めて動きを止めた。

「今、な、なんと言ったのだ?アレン」
 
ジョージの言葉に、全員が固唾を飲んで耳をそばだてる。

アレンはもう一度美桜と顔を見合わせると、ジョージに向き直った。

「私達の結婚を認めて頂きたい、と申し上げました」
「け、結婚!」

ざわっと一気に広間の空気が動く。

「み、美桜ちゃんと、アレンが!」
 
結婚、そんな夢のような・・・とジョージは誰にともなく呟く。

「お許し頂けますか?」
 
アレンと美桜が揃って頭を下げると、ジョージは慌てて美桜に駆け寄った。

「わっ、お父様、危ない」

つまずきそうなジョージに美桜が手を差し出すと、ジョージは逆にその手を握り返してきた。

「美桜ちゃん、よくぞ、よくぞ決心してくれた。ありがとう!本当にありがとう!」
 
感極まったように涙声で言い、美桜の手を力強く握る。

「君のことは、私達が皆で守る。決して寂しい思いはさせないよ。パレスの全員が君の見方だ。なあ?みんな」
 
振り返ると、皆一様に涙を堪えながら頷いている。

「もちろんですとも!私、生涯かけて美桜様にお仕え致します」
 
クレアの言葉に、私も、もちろん私もと皆が続く。

「ありがとうございます」

美桜が頭を下げると、誰からともなく拍手が起こった。

「おめでとうございます!アレン様、美桜様」
 
皆の輝くような笑顔と、惜しみない拍手を受け、アレンと美桜は微笑み合った。