桜のティアラ〜はじまりの六日間〜

 「そんな娘が、結婚を決めた。アレン君、それがどういう意味か分かるかい?いくら親に何を言われても、絶対に考えを変えない。そして自分で決めたこの先の人生を、決して後悔することなく、必ず幸せになってみせる。そういう子なんだよ、美桜は」
 
 隣で母も静かに笑って頷く。

 「そんな娘に私達親が出来ることといったら、娘を信じて応援すること、それだけだよ」
 
 美桜は、溢れる涙を堪えることが出来なかった。

 父は優しく娘に微笑む。

 「美桜、お前は強くて優しい子だ。お父さんはお前を誇りに思う。自分の決めた道を、しっかり歩いていきなさい。大丈夫、必ず幸せになれるよ」
 「はい」
 
 涙でぐしゃぐしゃな顔のまま、美桜は頷く。

 「そしてアレン君。どうか娘をよろしくお願いします。イギリスと日本では、いざという時にすぐ駆けつけてやれない。これからは、君に託します。どうか、娘のそばについていてやって欲しい」
 
 よろしくお願いします、と両親は揃ってアレンに頭を下げた。

 「そんな、こちらこそ。大切な美桜さんをお二人の分までしっかりお守りします。必ず、必ず幸せにします。お二人のお気持ちも、決して忘れません。本当にありがとうございます」
 
 アレンは感極まったように二人に言い、頭を下げ続けた。

 「美桜、良かったわね。幸せにね」
 
 母の温かい声が、美桜の心に沁み込む。

 「ありがとう。お父さん、お母さん」
 
 まるで子どものように涙でいっぱいの顔の美桜を見て、両親は優しく笑った。