桜のティアラ〜はじまりの六日間〜

 「お父さん、お母さん、私は幸せになる道を見つけたの。たとえそれが、日本を離れることになっても。どうか認めてください」

 隣で聞いていたアレンは、たまらずまた口を開いた。

 「大切なお嬢さんを遠く離れたイギリスに行かせることは、身を引き裂かれるような思いだと思います。簡単にお許しいただけるとは思っていません。何度でも足を運びますので、どうか少しずつでもお気持ちを話していただけたら」
 「いや、その必要はありません」
 
 アレンの言葉をぴしゃりと遮る父の言葉に、美桜はハッとして顔を上げる。

 「お父さん!あの…」
 「美桜は黙っていなさい」
 
 そして、アレンに顔を上げるように言う。

 ためらった後、アレンはゆっくり顔を上げた。

 「アレン君。うちの娘はね、小さい時から何でも自分で決める子だった。ダンスを習いたい、ランドセルの色はピンク、進学先はS学園、そして就職まで。全く親の意見など聞かなくてね。どんなに私達が話しても、一度も考えを曲げたことはなかった。そして自分の決めた道を、後悔したり途中で投げ出すこともなかった。一言で言えば、頑固者だな。それも筋金入りの」
 
 誰に似たんだか…と呟くと、母も、ほんとに、と二人で笑い合う。