やがてアレンはそっと美桜にキスをした。

大事そうに、そっと。
 
そしてもう一度美桜の顔を覗き込んだ時だった。

ゴツンと急に美桜がおでこを胸に押し付けてきた。

「いてっ!どうしたの?美桜」
 
体を離そうとしても離れない。
頑なに顔を胸に押し当ててくる。

「美桜?どうしたの?耳が真っ赤だけど」
 
そう言うと、ますます美桜は顔を赤くしたようだった。

「・・・ひょっとして照れてるの?」
 
言い当てられてドキッとしたように、美桜は体を固くする。

(なんだ、可愛いな)
 
アレンは頬を緩めると、何を思ったのか美桜を抱きしめたまま押し倒す。

驚いて思わずわっと声を上げた美桜は、気が付くとベッドに背中をつけていた。

しかもアレンに抱きしめられたままの状態だ。

「やっと見えた。恥ずかしがり屋の可愛い美桜の顔」
 
アレンが美桜の顔すれすれのところで、いたずらっぽくささやくと、美桜はさらに顔を赤くする。

「もう!いじわる」
 
涙目のまま拗ねたように口をとがらせる美桜に笑っていたアレンは、ふと真顔になると、もう一度美桜に口づけた。

今度は少し強引に、気持ちを伝えるように、ゆっくりと。
 
空からの月の光が、そんな二人を優しく照らしていた。