桜のティアラ〜はじまりの六日間〜

 何をもってそうなんだと確信したのか、美桜の母は言葉を続ける。

 「そうかあ、美桜にもついに彼氏がね」
 「いやー、こんなかっこいい好青年の彼か」
 「お父さん、ちょっと寂しい?でもアレン君なら何の不満もないでしょ?」
 「そりゃそうだよ、逆にうちの娘でいいのかい?って」
 「ほんとよね。あ、でもあれでしょ?遠距離恋愛ってやつよね?大変よー、これから」
 「でもまあ、今はインターネットでどこでも繋がる便利な世の中だしな」
 「そうよね、私とお父さんが関西と関東で遠距離だった頃に比べたら」
 
 さんざん二人で盛り上がった後、両親はようやく美桜達に顔を向けた。

 「二人ともがんばってね。応援するから」
 「う、うん」
 
 勢いに飲まれて美桜が頷いた時だった。

 隣に座っていたアレンが滑るようにソファから降り、床に正座をすると両手をついた。

 「申し訳ありません。実はこの度はお二人に折り入ってお話があり、日本に参りました。大事なお話なので、まずはご都合などお聞きしてから、改めてこちらに伺うつもりでした」

 (ひー、アレン!一体何を)
 
 そう思いつつ、美桜も慌ててソファから降りる。

 「つい四日前に、美桜さんが再びイギリスの私のもとを訪ねてくれ、二人で互いの気持ちを打ち明けました。私は美桜さんをとても大事に思っています。私にとって、美桜さんのいないこの先の人生は考えられません。そして、自分が必ず美桜さんを幸せにする、一生をかけて守っていくと心に誓い、プロポーズいたしました」