アレンは美桜を部屋に運ぶと、すぐさまパレスに帰ったらしい事を、仁はメアリーから聞いていた。

だが美桜や絵梨達には話していないらしく、きっとメアリーもアレンの様子が何かおかしいと感じたのだろう。

(はあ、これからどんな顔でアレンと会えばいいんだろう。今までのような関係には戻れないのか?)

思わず頭を抱える仁に、美桜が心配そうに声をかける。

「仁くん、今朝はずっと様子が変だけど、具合悪い?大丈夫?」
「あ、いや、うん。ちょっと二日酔いかな」
「えー、珍しいね。仁が二日酔いなんて」

絵梨が驚いたように声を上げる。

「疲れたのもあるんじゃない?夕方の出発まで部屋で休んだ方がいいよ」
「うん、そうだね。そうする」

心配してくれる美桜に罪悪感を感じながら、仁はうなだれて返事をする。

「うわ、本当に珍しい。ちゃんと寝てなよ」

絵梨は仁にそう言った後、美桜は夕方までどうするの?と聞く。

「私はね、パレスにご挨拶に行こうかなって」
「そっか、色々あったんだもんね」
「うん。とてもお世話になったから。絵梨ちゃんは?」
「私はね、エステにスパに、最後までここを満喫させてもらうわ」
 
そう言うと絵梨は、再び演劇モードに入る。

「ああ、我が心のふるさと、フォレストガーデン。いつの日かまた会える日まで」
「あはは、上手上手!」
 
美桜は手を叩いて笑った。