桜のティアラ〜はじまりの六日間〜

 「あ、帰ってきたみたい」
 
 フォレストガーデンに戻った美桜が、廊下側のドアを開けると、中から絵梨の声がした。

 「おかえり!美桜。聞いたよ、アレンのこと」
 「おかえりなさいませ、美桜様。大変でしたわね。大丈夫でしたか?」
 
 絵梨とメアリーが心配そうに出迎える。

 「ただいま!うん、アレンもうすっかり元気になったよ」
 「良かったー」
 「ええ、本当に」
 
 二人は同時に、ほっとしたように胸をなで下ろす。

 「美桜様、お食事は?何か召し上がりますか?」
 「ううん。パレスでもう済ませたの」
 「では、少しお休みになっては?」
 
 うーん、と美桜は少し考える。

 「そんなに疲れてないんだよね」
 「あ、じゃあさ」

 隣で絵梨が手のひらを合わせて言う。

 「これから一緒に出掛けない?仁が車であちこち案内してくれることになってるの」
 「えー、行きたい!」
 「まあ、美桜様。本当に大丈夫ですの?」
 
 メアリーが心配そうに聞く。

 「うん、大丈夫よ。それに明日の夜には帰国だもん。最後の一日になるから」
 「そうだね、早いよね」
 
 名残惜しそうに絵梨が呟き、美桜も頷く。