「では、父上。行って参ります。」
「おう。ヘヨン、くれぐれも気をつけるのだぞ。」
「はい。ジェヒョンがついているので大丈夫です。母上とソンフンは、どこにいらっしゃるのですか?」
周りを見渡すと、母上と弟のソンフンがいないことに気づいた。
私の問いかけに父上は、気まずそうな顔をした。
「ソンフンは、皇太子教育で忙しくて、王妃は、それに付き添っているから今日は、来られないそうだ。」
「そうですか。」
母上は、いつもそうだ。
私の大事な日にいつも私の側にいてくれない。
あの頃からずっと。
「お母さま!今日は、何の日でしょうか?」
「何の日だったかしら?ヘヨン、私ソンフンのお稽古に行かないといけないからその話、後にしてくれる?」
そう言って母上は、ソンフンの元へ急いだ。
その日は、私の10歳の誕生日だった。
誕生日の日も母上は、私よりも弟であるソンフンを優先したのだ。
そんな人生で最も最悪な気分の夜、彼と出会った。
「ヘヨン!」
暗闇の中、下を向きながら泣いていた時、父上の声が聞こえてきた。
父上が私の誕生日を祝いに来てくれたのだと思った。
でも実際は、そうではなかった。
「今日からヘヨンの護衛として働いてもらうことになったジェヒョンだ。」
父上は、そう言って彼を私に紹介した。
彼は、その時15歳だった。
「ヘヨン様、本日からよろしくお願いします。」
15歳とは思えないような落ち着いた少年だった。
彼の目には、光がまるでなかった。
ここに連れてこられたのが不服なのか、
大人たちに反抗したいけど、反抗できない葛藤を表したようなそんな顔をしていた気がする。
「彼は、ヘヨンに何かあった時、命懸けでヘヨンを守ると僕と約束したのだ。だからもうヘヨンは、心配しなくていいぞ。」
この頃、この地域では、争いが多発していた。
父上からお前の命を奪う奴らが今後現れることになると常々言われていた。
そのために彼は、連れてこられたのだとずっと思っていた。
でもそれは違ったことにあとになって気づいた。
「ヘヨン様どうかされましたか?」
ジェヒョンに話しかけられて、ボーッとしていたことに気づいた。
「いや、何でもないわ。ちょっと昔のことを思い出していただけよ。」
「王妃様のことですか?」
私は、静かに頷く。
「大丈夫です。ヘヨン様には、僕がついています。辛い時は、僕に何でも言ってください。あなたの苦しみや孤独が少しでも和らぐならいつでも僕を頼ってください。」
「そうね。いつもありがとう。」
そうやっていつも私は、彼の甘い言葉に騙される。
彼も私のことを思ってくれているのだと。
でもそうではない。
彼は、私たち一族を恨んでいるに違いない。
だから私など愛してもいない。
彼の甘い顔、甘い言葉に騙されたフリをするの。
彼の目の奥が笑っていないことを無視して。
「おう。ヘヨン、くれぐれも気をつけるのだぞ。」
「はい。ジェヒョンがついているので大丈夫です。母上とソンフンは、どこにいらっしゃるのですか?」
周りを見渡すと、母上と弟のソンフンがいないことに気づいた。
私の問いかけに父上は、気まずそうな顔をした。
「ソンフンは、皇太子教育で忙しくて、王妃は、それに付き添っているから今日は、来られないそうだ。」
「そうですか。」
母上は、いつもそうだ。
私の大事な日にいつも私の側にいてくれない。
あの頃からずっと。
「お母さま!今日は、何の日でしょうか?」
「何の日だったかしら?ヘヨン、私ソンフンのお稽古に行かないといけないからその話、後にしてくれる?」
そう言って母上は、ソンフンの元へ急いだ。
その日は、私の10歳の誕生日だった。
誕生日の日も母上は、私よりも弟であるソンフンを優先したのだ。
そんな人生で最も最悪な気分の夜、彼と出会った。
「ヘヨン!」
暗闇の中、下を向きながら泣いていた時、父上の声が聞こえてきた。
父上が私の誕生日を祝いに来てくれたのだと思った。
でも実際は、そうではなかった。
「今日からヘヨンの護衛として働いてもらうことになったジェヒョンだ。」
父上は、そう言って彼を私に紹介した。
彼は、その時15歳だった。
「ヘヨン様、本日からよろしくお願いします。」
15歳とは思えないような落ち着いた少年だった。
彼の目には、光がまるでなかった。
ここに連れてこられたのが不服なのか、
大人たちに反抗したいけど、反抗できない葛藤を表したようなそんな顔をしていた気がする。
「彼は、ヘヨンに何かあった時、命懸けでヘヨンを守ると僕と約束したのだ。だからもうヘヨンは、心配しなくていいぞ。」
この頃、この地域では、争いが多発していた。
父上からお前の命を奪う奴らが今後現れることになると常々言われていた。
そのために彼は、連れてこられたのだとずっと思っていた。
でもそれは違ったことにあとになって気づいた。
「ヘヨン様どうかされましたか?」
ジェヒョンに話しかけられて、ボーッとしていたことに気づいた。
「いや、何でもないわ。ちょっと昔のことを思い出していただけよ。」
「王妃様のことですか?」
私は、静かに頷く。
「大丈夫です。ヘヨン様には、僕がついています。辛い時は、僕に何でも言ってください。あなたの苦しみや孤独が少しでも和らぐならいつでも僕を頼ってください。」
「そうね。いつもありがとう。」
そうやっていつも私は、彼の甘い言葉に騙される。
彼も私のことを思ってくれているのだと。
でもそうではない。
彼は、私たち一族を恨んでいるに違いない。
だから私など愛してもいない。
彼の甘い顔、甘い言葉に騙されたフリをするの。
彼の目の奥が笑っていないことを無視して。



