「ヘヨン様、陛下がお呼びでございます。」

私は、カルミヤ王国という非常に冷酷な王が治めている国の王女である。

そして今私に話しかけたこの男は、護衛のジェヒョン。

彼は、初めて会った日から15年間常に私の側にいてくれた。

私は、生まれた時からずっと孤独だった。

父は、政治のためならば娘である私も利用しようと考えているような男だ。

今も口を開けば、政略結婚の話ばかりしてくる。

そして母は、生まれた当初は、可愛がってくれたが、弟が生まれた瞬間、私には見向きもしなくなった。

弟を国王にすることに必死になっているからだ。

そんな孤独な私を助けてくれたのは、ジェヒョンだった。

「ヘヨン様、寂しい時は、いつでもこの私を呼んでください。僕は、ヘヨン様の側に必ずいます。」

彼は、私が父と母に言って欲しかったこと、して欲しいと思っていたことすべてを私にしてくれた。

彼が側にいてくれたからこの15年間私は、生きていくことができた。

いつしかそんな彼を愛するようになっていた。

でも彼は、私を愛していない。

彼は、私を愛することは一生ないだろう。

だって彼は、私たちのことを心の底から憎んでいるから。

それでもいいの。

私は、彼のことを愛しているから。

だから今日も私は、彼の言葉に騙されているフリをするの。

「ヘヨン様、僕はいつでもヘヨン様の味方です。」

目の奥が笑っていなくても。