「いらっしゃいませ」



朝は早く起きてパンを焼き、昼間から夕方はパンをお客さんに売り、夜は余ってしまったパンを食べながら新作メニューを考え、お風呂に入って寝る。いつも忙しいが、変わらない毎日だ。

「んんっ……」

朝、いつもより少し寝苦しさを感じてエリーは目を覚ます。すると、視界にベッドの天蓋が映る。白のレースがまるでお姫様のようだ。

「えっ？あたしのベッド天蓋なんて付いてない！」

エリーの普段寝ているベッドは、安い家具屋で買ったシンプルなベッドだ。こんな豪華な装飾は施されていない。

慌てて体を起こすと、寝る時に着たはずのゆったりとしたパジャマではなく、胸元に大きなリボンとレースがふんだんに使われた黄色のロリータワンピースに着替えさせられていた。

「ど、どうりで寝苦しいと思った」

可愛らしいロリータワンピースなど、若い頃にチラリと街中で着ている人を見ただけで着たことがなかった。そのためどこか恥ずかしさを覚えてしまう。