カランコロン、とパン屋「ribbon」の入り口に付けられたベルが音を立てる。お客さんが来たのだ。この店の店主であるエリー・ホップスは奥から顔を出した。

「いらっしゃいませ!」

金髪の髪を後ろでまとめ、青い目を細めてエリーはお客さんを出迎える。やって来たのは近所に住んでいる主婦の人だった。

「こんにちは。実は、急に友達が家に来ることになって。いいパンないかしら?」

「それでしたら、こちらのアイストーストはいかがですか?新作なんです」

エリーがアイスクリームの乗ったトーストを持って来ると、「おいしそう」と主婦の頰が緩む。主婦はアイストーストを買って足早に「ribbon」から去っていく。

主婦が去って行ってしばらくした後、カランコロンと再びベルが鳴る。顔を上げれば、そこにはこのパン屋の常連がいた。

「こんにちは、エリーさん」

ブラウンの髪に緑の瞳の華やかな顔立ちの男性が立っている。スーツがよく似合っている。男性ーーーハリー・シンプソンはニコリと笑って言った。