「殿下、おまたせしてすみません。準備、完了しました。」
「わあ、フーっ!かっわいい〜!!きれ〜っ!あ、でも、敬語はめっ!」
「はいはい。ありがと、殿下。」
「殿下…やだーっ」
「えー。わがまま…」
「フー???これから、ふたりきりのときに僕のこと殿下って呼んだり、敬語使ったりしたら、罰ゲームねっ!」
「はぁーっ。わかったわよ、レオっ」
「うんっ!!」
もう、レオ…なんでそんなにこだわるのよ…ってか、罰ゲームとは…?
「ねぇ〜フー?」
「なに?」
「どこいきたい???」
そう、レオが言ったとき…
ガタッ…ガッシャーンッ
盛大な音を立て、窓ガラスが吹き飛んだ。
「あねもねっっっっ!!!!」
私がそう叫ぶと、あねもねが出てきて、守備の結界を張ってくれた。
「間に合ったっ…」
危なかった…
「レオ!?レオッ!!平気っっ??」
レオは下をむいて、唇を噛み締めていた。そして、ぽろぽろと、おっきな涙を溢した。
「うっ…ううっ…フーっ…ごめっ…」
「何言ってるの、レオ。あなたが謝ることなんて、なにもないわ。」
「ぼ、ぼくは…っく…何もできな…かったぁっ……ほんらいならっ…うぐっ…第一王子のっ…僕がっぁ…たす、けなきゃっ…いけないの、にっ…」
「レオ。レオはこれからいくらだって成長できるわ。だから、どうか、くじけないで。悔しいのなら、いくらでも泣いていいわ。でも、諦めちゃだめ。レオは将来王になるんだから。」
「うっ…うわぁぁぁぁっ…」
「よしよし、レオ。大好きよ。」
「フーっ…フーは、こんな僕でも…うぐっ…僕のっ…后になってくれる??」
「わかった。わかったわ。私はレオの后になるわ。」
「あり…あと…フー…」
すぅー。すー。と軽やかな寝息を立てて、レオは眠りについた。
「あいりす。レオを回復させてあげて。」
「うん〜!」
「ありがと、あいりす。あねもねも守備、ありがとねっ!」
「「ううん!ふーらのやくにたててうれしい〜!」」
「あ、あねもね。レオを守っててくれる??」
「ふーらはなにしにいくの〜??」
「窓を割った犯人を突き止めてくるわ。」
「きをつけてね〜」
「うん!!」
えーっと、さっきの攻撃は草魔法だったわよねー。じゃあ、探索スタート!
「あせろら〜」
「んー?なーに?」
「さっきの攻撃魔法を仕掛けてきたやつに、光の粉をおねがい!!」
「わかった〜!」
そのとたん、ぴか〜っと光る人影が出てきた。
「っちょ、なんだこれっ…光ってる…」
「こすもす、幻惑。」
こすもすの力によって、私は大人の姿になった。
「あなた。第一王子を狙ったでしょう。」
「何だお前っ!弱そうだなっ!ドラサ・アール・ラリッサ。草の刃っ!」
「ひやしんす。」
草の刃が飛んできた瞬間、ひやしんすが水の塊を発射した。そうしたら、おじさんは吹っ飛んでいった。
「いったあーっ…お前、水属性かっ!!相性悪っっ。にげるかっ」
「そうはさせないわっ!!こすもす、拘束っ!!」
こすもすがおじさんの手足を拘束した。
「いてっ。動けないじゃんか…ん?おまえ、水属性じゃなくて闇属性…?おかしいな…何者だ??」
「こすもす、催眠。」
「あ゛っ…」
カクンッ。
おじさんは気を失った。
「あせろら、こすもす、ひやしんす、ありがとね!」
「うまくだませたね〜」
とあせろら。
「ううん〜!楽しかったよ〜」
とひやしんす。
「おやすいごようよ。」
とこすもす。
「じゃあ、レオのところに戻りましょうか。」
「「「うん〜!!」」」
大丈夫かな、レオ。早く馬車に戻らなきゃ。