竜海さんに連れられてきた場所は
昼間は家族でにぎわうような
大きな公園だった。

今はお花見シーズンで
皆シートを並べて楽しそうに宴会してる中
私と専務は桜並木を二人でゆっくりと歩く。

そして、宴会で盛り上がっている通りから
少し離れた静かな場所を見つけて
二人でベンチに腰を掛けた。

「綺麗ですね。お花見なんて
もう何年も来てないから
久しぶりに見る夜桜はとっても素敵です」

桜良はキラキラと瞳を輝かせながら
満開の桜を見上げている。

「名前に桜がついてるのに?」

竜海が少し悪戯っぽく問いかけた。

「フフッ。専務、それは関係ないです。」

桜良に竜海は「そっか」と
つられて目を細めた。

「最近毎朝、ここの公園を通るたびに
上杉さんのことを思い出して
一緒にこの桜見たいなって思ってたんだ」

竜海の優しさに溢れた眼差しに
桜良の胸の鼓動が早まる。