「竜海さん...っ.. .」

私は苦しさのあまり
パチリと目を覚ますと
ガバッとベッドから飛び起きた。

額や背中にはグッショリと
嫌な汗がにじんでいる。

ここ最近、ずっと嫌な夢を見ている。

夢の内容は覚えてないのに
目覚めは悪くて息が詰まるような感覚に襲われる。


私はまだドキドキと波打つ鼓動を
落ち着かせるように胸に手を当てた。

苦しくて無意識に叫んだ名前の人物を思い出して今度は別の苦しさが襲ってくる。


辺りを見渡すと6畳の洋室に
子どもの頃から使っていた勉強机と
本棚がある極々普通の部屋だ。

少し前までは
この部屋の4倍はあるほどの寝室で
キングサイズのベッドで寝起きしていたなんてまるで夢のようだ。

そう、きっと私は夢を見ていたのかもしれない. . .

とっても幸せな夢だった. ..

広々とした家で優しくて素敵な旦那さんとの
幸せな結婚生活の夢. ..

瞳からポトリと溢れ落ちた雫が
じわりと布団にしみをつくった。