Side桜良

私が竜海さんのマンションに帰ってきてから、一ヶ月は経とうとしていた。

あれから、ストーカーが現れることもなく
私はすっかり安心しきってしまっていた。

私はいつものように、仕事を終わらせると
更衣室で制服から私服へと着替えていた。

犯人が特定するまで、帰りはいつも
黒木さんか竜海さんに車で送ってもらっていた。

今日は竜海さんが学生時代の友人と
食事の約束をしているらしくて
黒木さんに送ってもらわないといけない。

私は着替えてオフィスフロアに戻ると
黒木さんは何やら、誰かと電話で話し込んでいた。

私は邪魔にならないように、
黙って自分の席につくと、黒木さんの
電話が終わるのを待つ。

「そうですか。
それでは今からお伺いしますね。」

黒木さんはそう言って電話を切った。

「桜良ちゃん、ごめん!!
お客さんから企画書の内容見直したいと連絡あったからちょっと行って来るよ。
もしかしたら、少し遅くなるかもしれないけど、ここで待っててくれるかな?」

「いえ、私は大丈夫ですけど...
もしお忙しいなら、タクシー呼んで一人で帰りましょうか?」

「いや、もう暗いし、心配だからここで待ってて。
なるべく早く終わらせるから。」

「はい..すみません。
ありがとうございます。」

黒木さんは私の返事に安心したように
頷くと急いで事務所を出ていった。