「それは...っ」

私は恐怖に言葉を詰まらせる。

「裏切りはいけませんよ、萌香さん..」

先程まで笑んでいた宇佐美の顔が急に真顔になった。

「わ、わたしっ、ちょっと用事を思い出したわっ」

私は恐くなって、バックを持つと
ガタっと慌てたように席を立った。

そして、急いで立ち去ろうとする私に宇佐美はカクテルを飲みながら
「大丈夫ですよ。上杉桜良は僕がなんとかしますから...」
ほくそ笑みながら言った。

私は一歩後退りすると
「あッ、、私はこれで失礼するわっ、、」
逃げるように店を出た。

なんとかするって、、何をするのだろう?

私のせいじゃないわよっ

全て上杉桜良が悪いのよっ

私はそう自分に言い聞かせながら
夜の街を走った。

宇佐美が何をしようとしているのかは分からない。
だけど、自分のついた嘘がもう後戻りができないところまできてしまった。

そして、宇佐美の復讐が終わった後、
私はどうなってしまうのか...
その恐怖に走りながら震えが止まらなかった。