余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。

ピシャッと,頭に電流が走る。

え……と声にも出来ず閉口した私は,また固まった。




「あー,そっからなんですね~」




半目になった木村さんが,落ち着いた声で続ける。



「さっきはビックリして余計なことばかり言ってしまいましたが……フッてないって言うならやっぱり。優良物件がどうの以前に,そもそも先輩が出雲くんの事好きですよね」



また,言った。

私,私が?



「んも~話進まないなぁ。あ,分かった。じゃあ先輩,残り少ない休憩時間で,私の話聞いてください」

「木村さんの?」

「はい。私,実は……」



木村さんは照れ笑いを浮かべ私をチラリ見る。

そして鼻の形に沿うように両手の指を置くと,今日1番の潜めた声を出した。



「私,出雲くんじゃなくて……出雲くんと仲の良い,一ノ宮さんが,いいなって,ちょっとだけ,思ったり……」