余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。

「……」



気まずい沈黙を,私は落とした。

心当たりが,無いわけでもなかったからだ。



「木村さんにはさー,私って,どう見える?」



私はもう残り少ない麺を掬って,つゆと共に口に含む。

気を紛らせたかったから。



「可愛いです……ってことじゃ,ないんですね」



苦笑して,彼女は黙った。

真面目に考えてくれる様だ。

そこまでなんだけどな,と私も苦笑する。

やがて木村さんはパッと顔を上げた。



「あーもう! 先輩が求めてる答え,考えても分かんない! 本当に,ざっくり言いますよ?」

「う,うん」

「まず,仕事が出来て,思い遣りがあってスマートで。兎に角完璧って言う印象です」



そう,だよね。

そう。

表情? 髪型? 話し方?

それとも空気?

何が原因かは分からないけど,大体皆のイメージは揃ってる。



「で,も! それだけじゃなくて」