余裕な後輩くんは,一途に先輩を想う。

「先輩またコンビニ? いっつもコンビニおにぎりと野菜しか食ってないからだよ。もっとガッツリ食べなきゃ」


戸惑いながら受け取ると,あったかい。

飲んだことのない未知の味を見て,私はまじまじと興味深く見つめる。



「あげる。んまいよ」

「え」



気遣われているんだと,すぐに分かった。

私がこんなところで丸くなってしまっていたから…



「いやいいよ。これはその……ただの生理痛だから」



心配して貰うことじゃないの。

そう突き返せば

ーガッコン

ボタンを見もせずに,佐藤くんはもう1つ何かを買った。



「そんなの分かってるし。いいからそれくらい受け取ってよ。腹にでも当ててれば?」



ちょっとだけ嬉しくなって,私は下を向く。

こんな顔,してらんないよ。



「まぁもう俺これがあるんで……うげ」



まだしゃがんだままの私の頭上で,変な声がした。



「なに,どしたの」

「みてこれ」



その手にあるのは,フルーツの味や濃い香りが特徴の,水。

どうやら佐藤くんはそれが苦手らしい。

やっぱり,さっき自販機見てなかったから…



「ふ,ふふっ…」