「不本意だけど、会えば大半の疑問は解決しそう……。いま遭遇したら、勝てる気がしないけど」
祈祷師はこれまでに琴音を殺害した。
それから、関与が疑われるのは瑠奈と小春の失踪、陽斗の殺害。
「……どうしてこうも近しい人たちが狙われたんだろう。共通点とかあるのかな」
祈祷師は魔術師から異能を奪えないというのに、どうして魔術師を狙うのだろう。
「その辺はわたしたちが探ってみる……」
紗夜が言った。
同調するようにうららも頷き、ふたりは情報収集に注力することになった。
「俺は────小春を捜すことに集中していいか」
静かに、けれどはっきりと蓮は言う。
運営側を倒すにしても何にしても、彼女の安否を確かめるまでは身が入らないのだ。
この嘘みたいな力を手に入れてから、ずっと小春を守るために動いていた。
これからもそれは変わらない。それだけは断言できる。
「俺も手伝う」
蓮の本心などとっくに見通している奏汰は、改めて真っ先に協力を申し出た。
「僕も日が出てる間は手伝いたいな」
控えめながら瑚太郎も名乗り出る。
「……ありがとな」
蓮はどこか儚げに笑いつつ、彼らの厚意を素直に受け取ることにする。
再び大雅とコンタクトを取った。
『至のことは聞いたんだよな?』
「ああ、軽く」
『小春捜すついでにそいつのことも捜したい。仲間に引き込めねぇかな』
「そうだな、分かった。それは俺も賛成だ」
────かくして面々は役割分担の末、別行動を取ることになった。
解散すると、紗夜とうららはふたり歩いていく。
こうしてふたりになるのは、何だか久しぶりのように感じられた。
「そういえば、如月さんたちと祈祷師の同盟が終わっているという話、言いそびれてしまいましたわ」
「それはまた今度でいいよ……」
紗夜はいつもの冷淡な調子で返す。
「如月はしばらく脅威じゃないから……」



