いつもと同じ夜コト/その1



S氏は50代後半の既婚者である。
子供は既に成人して巣立ち、妻はもっぱら海外旅行と習い事がマイブームで、第2の後半人生を満喫中だった。
よってここ数年、S氏は野放しにされていた~。


もっともその環境は、S氏にとって好都合極まりないものでもあった。
彼は現在複数の女性と不倫交友を進行中で、いわばこちらも壮年期を謳歌していた訳で…。


そのお相手の中で、最も若く一番エッチの相性が合うF美とは不倫歴1年半、不定期ながら概ね月2のペースでお楽しみを重ねていた…♪


***


31歳の独身であるF美は、オペレーターのパートとスタイリストのバイトを掛け持ちしていたのだが…。
後者のシゴトはいわゆるAV撮影現場専門で、S氏とのエッチは決まってその撮影が終わった数日後だった。


これには理由があった❣
彼女は性に対する好奇心が人並外れて旺盛で、毎回、撮影現場でAV女優のメークを終えると、そのまま撮影の様子を最後までリングサイド見学するのが常だったのだが...。


その際、彼女は各撮影で目にしたプレイやシュチエーションを、実際に自分のエッチでも追体験する…、そんな目的があったと…。
そしてそのお相手が、S氏ということだった。


と言っても、スケベ極まりないF美にはセフレが何人もいて、それをS氏も当然承知はしていた。
その上で、F美的にはAV撮影のまね事エッチ、なりきりパクリプレイの相手となると、S氏のみということだったのだ。


それはやはり、性癖とセックスの相性からではあったのだろう。
何しろS氏はどんなエッチのシュチエーションにも万事順応できて、F美からしたらこの変わった趣向をこなせるベストバートナーと言えたのだ。


そして…。
この夜も彼女の部屋に訪れたS氏とは、下半身同類両人による”なりきり劇場”に興じていた。


***


「…ほう、”ガブリツキ”ねえ…。まあ、そうレアなプレイじゃあないだろうけど、騎上位でイクその瞬間、女がすぐさま下から口に”瞬間移動”か…。そうとなれば…、要は、直前とか発射後じゃあ似て非なるものになる…。タイミングが”同時”のピンポイントでないと意味がない訳だな?」


なりきり劇場のベッドイン前には、F美がAV撮影でチェックしたプレイを事前にS氏に説明するのが常となっていたのだが…。
その際、F美の隠し撮りした現場映像も”共見”しながら、缶ビール片手にポテトチップもかじりながら…。
そんなノリで、まずは大まかな流れを申し合せする…。


で、今夜も然り…、”いつもと同じ夜コト”は開始のゴングが鳴ろうとしていた…。