雇われの姫をはじめてから1ヶ月。

主な仕事は怜央といること。

時々、会合にも顔を出し闇狼のメンバー達とも普通に話せるようになってきた。


『姫』と呼ばれるのには、まだ違和感があるけど……。

バイトが遅くなる日は必ず怜央が送り迎えをしてくれる。


そのおかげか、特に大きな問題が起こることもなく平和な日常を過ごしていた。


昨日は久々に新那と遊べたし、時間に余裕があるって最高。

夏が終わったらまた元の生活に戻るんだから、それまでに新那とたくさん思い出を作って、貯金も頑張らないと。

……姫という役割が終わっても、怜央と話すことぐらいは許されるのだろうか。


なんてことを思っていた矢先、スマホに届いた一通のメッセージ。


《狂猫に動きがあった。俺は先にチームの奴らと合流する。放課後、冬馬を向かわせるからそれまでは学校から出るな》

私は慌てて怜央のクラスに向かったが、もうそこに彼の姿はなかった。