いつもなら授業に集中して受けているのに、今日は違った。


茂木くんが気になって仕方がない。


最初のうちはちゃんと起きていた。


いつも通りの茂木くん。


真面目に授業を受ける、優等生の茂木くん。


……のはずだった。



「……うそっ」



思わず小さな声が漏れてしまった。


幸いなことにその声は誰にも届くことはなくてほっとしたのだけれど。


あの茂木くんが寝ているのだ。


正確には正面が見えないからわからない。


でも確かに頭がコクリコクリと上下していた。


本当に寝てる……よね?


居眠りをする姿なんて見たことがなかったのに……


余程昨日夜更かししたのだろうか。


真面目な茂木くんのことだから、夜も寝ずにテスト勉強をしていたのかもしれない。


そして、予言は的中した。



「こら、茂木!!」



厳しい英語の先生の雷が、茂木くんに落ちた。