「おはよ」
「……っ!?」
いきなり後ろから肩を叩かれたと思えば、勝手にイヤホンを外され、挨拶をされる。
「そんなに驚くことないだろ」
その主は、紛れもない神代くん。
「ほら、挨拶くらいしとかないと怪しまれるだろ?」
そう小さな声で耳打ちしてくる。
あの発言が嘘だと思われないようにっていうこと?
「ねぇ、それなんだけど……」
撤回して欲しいのに、また変な噂を流され、陰口を言われるのが嫌で……
なかなか続きの言葉が出てこない。
「それって?」
「いや、なんでもない」
結局、何も言えなかった。
そのまま神代くんは、いつものメンバーが集まる場所へと行ってしまった。
陽子ちゃんから視線を感じる。
神代くんと私を見ては、何かを話している。
きっと昨日のことだ。
驚きの声を出して、真意を確かめるように問いかけてきていたから。



