勉強に集中していると、いつの間にかみんなが登校してきていた。


もうそんな時間か。


黒板の上にかけられた時計を見ると、予鈴が鳴る5分前を指していた。


そういえば昨日のような陰口は一切聞こえなくなった。


神代くんのあの一言が効いているのだろうか。


まだ神代くんは教室に姿が見えないようだけれど、私に何か言ってくる人もいない。


昨日声をかけて来たクラスメイトの方を見ると、私の方を向いていて何か言いたげな顔をしていたけれど、すぐに顔をそらされた。


神代くんにあんなことを言われて、諦めたのだろうか。


そういや、あの一件はどうなったのだろうか。


神代くんがした爆弾発言。



“俺ら、付き合ってるから”



きっとまだ訂正されぬまま。


神代くんはそんな勘違いをされたままでいいのだろうか。


私なら、空気みたいな奴と付き合ってるなんて噂が流れたら嫌だけど……


って、私が言うことじゃないか。