「あぁ、この問題ね。予言するよ?絶対この問題、テストに出るから」



神代くんは私のノートをのぞき込むなり、そう自信満々に答えた。



「また、予知夢?」


「そう。たまたまこの間テストの夢見たんだよね」


「所詮、夢じゃん……」


「夢は夢でも俺のは予知夢なの」



周りに迷惑をかけないよう小さな声で会話を交わす。



「そんなの、お着てみないとわかんないじゃん」


「予知夢かそうじゃないかは何となくわかるんだよ」



そうは言われても信じることができない。


だって、予知夢なんて物語の世界の話なんだから。



「信じるか信じないかは詩織次第だけど」



“詩織”と呼ばれるのがなかなか慣れない。


予知夢の話よりも名前を呼ばれることの方が気になって、ドキドキしていた。


静かな図書館中に響き渡ってしまうんじゃないかってくらいには、大きくうるさい音だった。



「ほら、絶対出るから教えるよ。ちゃんと聞いててね」