お母さんにもテスト勉強で少し遅くなるとメッセージを送って、カバンから教科書とノートを取り出す。


隣には当たり前に座る神代くん。


私と同じく数学の教科書をカバンから取り出していた。


気持ちを切り替えるために、髪をひとつに結ぶ。



「詩織、ポニーテールもするんだな」


「……勉強の時はね」


「詩織は数学得意?」


「……まあまあかな」


「そっか。俺、数学が一番得意なんだ!わかんないことあったらなんでも聞いて?」



それは心強いと思ってしまったのは、神代くんには内緒。


なんだか負けた気がして嫌だったから。


勉強を始めてから1時間くらいが経った。


私はある問題に躓いて、なかなか解けずにいた。



「なんかわかんないとこある?」



神代くんはとてもいいタイミングでそう問いかけてきた。


まさに私は今困っている。


学校じゃないから先生に聞くこともできないし、解説を見てもあまり理解ができないし、解き方を聞くには神代くんしかいなかった。



「……ちょっとこれがわかんなくて」



私のなかのプライドが折れて、神代くんに大人しく聞くことにした。