だから守ったとでも言いたいのだろうか。
……っていうか、“また”ってことは、やっぱり過去にも噂されたこと知ってたんじゃん。
つい昨日、「なにそれ」なんてしらばっくれてたくせに。
「別によかったのに」
私に捨てるものなんて何も無いんだから。
「俺が許せなかっただけ。俺がああやって言わなかったらもっと酷くなってたんだから」
神代くんは知っている風に答える。
「夢で見たんだよ、詩織が虐められてる様子」
また“予知夢”というやつだろうか。
「……信じられない」
「まぁ、そうだろうな。全部俺がやりたくてやってるだけだし、気にしなくていいよ」
そんなことを言われても、巻き込まれてしまっている私。
「……早めに撤回して欲しい……それと私の名前」
「あ、詩織って?名前で呼ばれたら嫌?」
「嫌って言うわけじゃ……」
ただ、慣れないからドキッとするだけで。
「それならこれから詩織って呼ぶな」
一方的にそう決められてしまった。



