「ありがとう、陽子ちゃん」


「こちらこそだよ」



陽子ちゃんが私の友達になってくれた。


涙も無事に引いて、陽子ちゃんと向き合う。



「颯馬の目が覚めたら幸せにしてやってね」


「私にできるかな……」



私には自信が無い。


こんなやつが神代くんに幸せをあげられるのか。


それ以前に神代くんと想いが通じるかどうかさえもわからない。



「私も協力するから、ねっ?」


「……うん、頑張る」



恋のライバルであった陽子ちゃんに背中を押してもらうのは心強い。


神代くんのことはよく知っていると思うから。



「ねぇ、待って」



陽子ちゃんが血相をかけて神代くんのことを見る。



「ど、どうしたの!?」


「颯馬の手、見て」



そう言われて神代くんの手を見る。



「……っ!」



微かにだけれど、それは確かに動いていた。


今まではずっと寝たきりで、どれだけ声をかけても何も起こらなかったのに。