君にたくさんのありがとうを




歩行者信号が青になり、渡り始める。



「詩織!ダメだ!」



今度はそうはっきりと聞こえた。


振り返るのと同時に、ものすごく大きなブレーキ音が聞こえる。


振り返った先には、ここにいるはずのない神代くんがいる。



「詩織っ!!」


「きゃっ」



私は、勢いよく神代くんに投げ飛ばされた。


それ同時にドンッという鈍い音が耳に届いた。


コンクリートの上に勢いよく転んだせいで体が痛い。



「きゃーっ!」


「誰か、救急車!」



そんな大袈裟な。


私は骨折している様子もないし、転んだ勢いでついた擦り傷くらい。


そう思って体を起こして、今起きていることを知った。


私の目の前で大量の血を流して倒れ込んでいる神代くんがいた。


その周りにはたくさんの人が集まってきている。



「ごめんなさい、ごめんなさいっ」



痛む体を引きずりながら。人をかき分けて神代くんの元へと行く。