光舞う、言ノ葉たちよ

川か、なんて思ったけれど、どうせ死ぬんだから何でもいいや。

されるがままに歩き出したわたしの手の中で、買ったばかりのおでんが湯気を出していた。



「ほい、座って。食べよ食べよ、いただきます」


数分後、死ぬことを考えたあの川に到着した私たちは、揃って岸に腰かけた。

そんなに食欲はなかったはずなのに、隣で美味しそうに大根を頬張るひかるを見ていたら勝手に手が動いて、口も動いた。


「…これ、私たちの最後の晩餐なのかな」

「…ああ、何も考えてなかった。そうなるかも」


ひかるに買ってもらったこんにゃくをかじりながら、ぽつりと呟く。


「…どうせなら、もっと豪華なのが良かったかも」

「ん、そう?」


次ははんぺんに手をつけようとしていたひかるの手が、動きを止めた。


「じゃあ何が良かった?」

「…ピザ」

「死ぬ前にピザは重くない?ラーメンにすれば?」

「そっちの方が重いじゃん。やだ」

「そっかそっか」


どちらともなく、ふふっと吐息が零れた。