光舞う、言ノ葉たちよ

そして、ライターと2人分のおでんを買った私たちは外に出た。


「やっぱり冷えるね。おでん持ってるから手は温かいけど」

「うん」


彼女が死にたいとか言っているのに笑顔を絶やさないひかるは、本当におかしな人だ。


縄がないから首吊りは出来ない、ライターがあるから頑張れば一酸化炭素中毒で死ぬことが出来るかもしれない。

川で死ぬのはひかるに却下されてしまったし、あとは、


「…飛び降りは?」

「ん?」

「飛び降り、出来ないかな」

「どこから?」


そりゃあ、高層マンションからだけど。

でも、それを言おうとして現実に気がついた。



こんな田舎町に、高層マンションなんてあるわけがなかった。



「下見する予定だったけど、この辺にはなかったね。タクシー捕まえて遠くまで見に行く?」


今、こんな深夜に運良くタクシーが捕まえられると本気で考えているのか。

それに、都心までタクシーを使えば出費が馬鹿にならない。


静かに頭を振れば、

「じゃあとりあえず、おでん食べよう。川岸に座れば良いムード出せるんじゃない」

ひひっ、と笑ったひかるは私の手を握って歩き出した。