光舞う、言ノ葉たちよ

コンビニに行く最中、川を通った。


「ここで死ぬ」

「ここ?あかり綺麗なんだから、水で濡れるの勿体ないよ」

「じゃあどうやって死ねばいいの」

「コンビニで考えよう」


手を引かれ、後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした。




「ライターあったから買うね」

「うん」


コンビニで最初にライターを見つけたのはひかるだった。

深夜、誰も居ないコンビニにいきなり着飾ったカップルが来たからか、店員さんが静かに私たちの行動を観察している。


「あ、あかり。見てこれ」


そんな店員さんに気付いているのか否か、急にひかるがわたしの腕を引っ張った。


「ん?」

「ほら、おでん売ってる。せっかくだし食べない?」


ううん、と言いかけて、一瞬迷った。

死んだ後に司法解剖されて胃の中からおでんが出てくるのも、“冬”って感じがして面白いかもしれない。


「…いいよ」

「分かった。どれがいい?」


ほんの一瞬、ひかるの顔が綻んだ気がした。