光舞う、言ノ葉たちよ

「…やっぱり、一酸化炭素中毒はどうかな」


コテを温めながら尋ねると、顔にタオルを当てたひかると鏡越しに目が合う。


「いいけど、あれってガムテープで隙間塞ぐんでしょ。壁ベタベタしちゃうよ」

「別にいいよ」

「そう?でも俺ライター持ってない」


ぐっ、と言葉に詰まった。


「…わたしも」

「じゃあ、コンビニにライター買いに行こっか」


こくりと頷いたわたしは、一房の髪をつまみとった。




「あかり、すっごい可愛いじゃん。これから死ぬ人とは思えない美しさ」

「褒めなくていいよ」

「最後なんだから沢山褒めとかないと」


髪も巻き終え、メイクも施したわたしを見たひかるは、ふわりと笑ってわたしの頭を撫でた。


「行こっか」


手を繋いで、2人で外に出る。

寒いのに、ひかるの手の温もりのおかげで身体は震えなかった。


「とりあえずコンビニね。ライター買わないと」

「縄は?」

「縄はコンビニじゃ売ってないんじゃない?」

「そっか」


私たちは、果たしてどの方法で死ぬのだろうか。

何にも決めずに、ただおめかしをして家を出てきてしまった。