光舞う、言ノ葉たちよ

2人なら怖くないでしょ。

寝返りを打ったひかるが、わたしの枕に顎を乗せる。


「ね?まずはどうやって死ぬか考えよう」


出来損ないのわたしの彼氏は、どこまでも優しかった。




「首吊りがいい」


天井を見上げたまま、ぽつりと呟く。


「本気で言ってる?あれ縄必要じゃん。持ってる?」

「…持ってない」

「じゃあ買いに行こ」


ひかるが、むくりと起き上がった。


「待って、やっぱり飛び降りでもいい」

「飛び降り?ここアパートの2階だよ?怪我して終わりだったら嫌じゃない?」


既に着替え始めていたひかるが、パジャマのズボンを毛布の方に投げながら優しく尋ねてくる。

つられて起き上がったわたしは、そっか、と声色を下げた。


「どうせならさ、2人で高級マンションから飛び降りた方が良いんじゃない」

「そうかな」

「そうだよ。あかりも着替えて。マンションの下見しに行こう」


言われるがまま、コンビニに行く時に着るジャージに腕を透す。


「あのさ、川に入るのは?」

「心中?江戸時代みたいだね」

「冗談で言ってない」

「知ってる、ごめんごめん」