「…悪くない、かも」
「でしょう?高級マンションに住んでハワイに行って、その後はどうしようか」
「…新しいメイク道具、買わなきゃ。アイライナーが欲しいの」
「うんうん」
近くにあったゴミ箱に、ひかるがおでんのカップを捨てた。
その手には、もうライターは握られていない。
「…眠い」
「顔洗ったらちょっと寝る?」
「うん」
「隣でギューしてても良い?」
苦しいから嫌だ、と言いかけて、ごくりとその言葉を飲み込んだ。
「…いいよ、」
ひかるが小さく笑って、わたしの頭を撫で回した。
「ありがとう」
どちらがその言葉を言ったのか、それは分からない。
「たまにはこういうのも良いね。夜のお散歩」
「エモさがあって?」
「そうそう。次はシャボン玉とか持ってくる?」
「何それ、高校生みたい」
ひかるの変な提案に思わず笑みが零れる。
繋がれた手は、どこまでも温かかった。
【完】
「でしょう?高級マンションに住んでハワイに行って、その後はどうしようか」
「…新しいメイク道具、買わなきゃ。アイライナーが欲しいの」
「うんうん」
近くにあったゴミ箱に、ひかるがおでんのカップを捨てた。
その手には、もうライターは握られていない。
「…眠い」
「顔洗ったらちょっと寝る?」
「うん」
「隣でギューしてても良い?」
苦しいから嫌だ、と言いかけて、ごくりとその言葉を飲み込んだ。
「…いいよ、」
ひかるが小さく笑って、わたしの頭を撫で回した。
「ありがとう」
どちらがその言葉を言ったのか、それは分からない。
「たまにはこういうのも良いね。夜のお散歩」
「エモさがあって?」
「そうそう。次はシャボン玉とか持ってくる?」
「何それ、高校生みたい」
ひかるの変な提案に思わず笑みが零れる。
繋がれた手は、どこまでも温かかった。
【完】



