由夏と真菜が教室に向かうと、生徒のほとんどいない薄暗い廊下に男子生徒の声が漏れ響いていた。由夏たちの教室からだった。
「うちのクラスの男子ってほんとヒマだよね〜。」
真菜が言った。そうだね、と由夏は乾いた表情で笑った。
(高橋たち、やっぱり残ってるんだ。
雨なんだからさっさと帰ればいいのに。)
ガラッ
真菜が教室のドアを開けた。
「おつかれヒマ人たちー。」
人懐っこい口ぶりで、真菜が男子たちを揶揄うように話しかけた。
「なんだよ相良、オレらこう見えて忙しいんですけど。」
吉田が応じた。
由夏は吉田の軽口に少しイラッとしてしまったが、さすがに僻みっぽくなりすぎているとすぐに反省した。
「なに、忘れ物?」
「うん、私じゃなくて由夏ちゃんがね。」
由夏は自分のロッカーから英語のテキストを取り出すと、パタンと扉を閉めた。
さて帰ろう、と吉田たちの方をチラッと見て、あれ?と思った。あるはずの金色がない。
「高橋、今日はいないんだ?」
由夏は少しホッとしながら吉田に聞いた。
「え?ああ、うん。今日っつーか、いたことねーけど。」
「え?」
吉田が言っている意味が理解できなかった。
「うちのクラスの男子ってほんとヒマだよね〜。」
真菜が言った。そうだね、と由夏は乾いた表情で笑った。
(高橋たち、やっぱり残ってるんだ。
雨なんだからさっさと帰ればいいのに。)
ガラッ
真菜が教室のドアを開けた。
「おつかれヒマ人たちー。」
人懐っこい口ぶりで、真菜が男子たちを揶揄うように話しかけた。
「なんだよ相良、オレらこう見えて忙しいんですけど。」
吉田が応じた。
由夏は吉田の軽口に少しイラッとしてしまったが、さすがに僻みっぽくなりすぎているとすぐに反省した。
「なに、忘れ物?」
「うん、私じゃなくて由夏ちゃんがね。」
由夏は自分のロッカーから英語のテキストを取り出すと、パタンと扉を閉めた。
さて帰ろう、と吉田たちの方をチラッと見て、あれ?と思った。あるはずの金色がない。
「高橋、今日はいないんだ?」
由夏は少しホッとしながら吉田に聞いた。
「え?ああ、うん。今日っつーか、いたことねーけど。」
「え?」
吉田が言っている意味が理解できなかった。