門出のあなたに



昼休み。早紀と購買部へサンドウィッチ買いに行ったら、人ごみの中に長身の頭が見えていた。





「あ、笠寺先輩だ。こんにちは~」





早紀が笠寺に気付いて、手を振る。





笠寺も見晴らしの良い視界の中で早紀たちを見つけたらしく、にかっと笑ってこっちへ向かってきた。






「今日もプリン?」





「はい。固めプリンが止められないんです」





美味しいもんねー、俺も好き、と話を弾ませている二人を、小春はちょっと見つめてしまっていた。





……いつも笠寺と一緒だった人が、居ない。





意図してだろうか。




それとも、偶然?





「今日は、尾上先輩と一緒じゃないんですね」





まるで小春の気持ちを引き継ぐみたいに早紀が笠寺に問うていた。




小春はぎょっとしつつも、思わず笠寺のことをじっと見てしまった。




「あー。うん。なんか、食欲ないんだって。尾上、もともとそんなに食に執着ないから、昼を抜くことは結構あるんだよ。物に対する執着がないのと一緒」





「そうなんですかー」





笠寺と早紀のやり取りに、何故かほっとする。





その様子を見た笠寺が、小春に問うて来た。





「……あのさ、竹内。今日、放課後って時間ないかな? 良かったら、ちょっとだけ付き合って欲しいんだけど」





ちょっと、心配そうに小春のことを見てくる。




早紀のことを差し置いて、なにか笠寺に心配されるようなことがあっただろうかと思い、ちゃんと応えていた。





「時間、ありますよ。何処か行くんですか?」





「ううん。何処も行かないよ。ちょっと、聞きたいことがあって」






笠寺はそれだけ言うと、放課後に図書室で待ち合わせることを約束した。





もうパンを買っていた笠寺は、そのまま教室へと戻っていく。





小春たちも早くサンドウィッチとプリンを買って食事にしたかった。





昼休みのうちに、午後の数学のテストに備えて、もう一度問題集を見ておきたかったのだ。





「今日のテスト、どのくらい取れるかな……」





「わかんない。もうすっぱり期末テスト一本でいいのにね」





毎週のテストのために、あの問題集を毎回見返すことになるのかと思うと、小春はなんともいえない気分だった。