溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

「……傍から見たら八千代って、すっげー怖いよ?」

 ……ふ、二人とも何の話をしてるんだろう?

 さっきから訳の分からない話ばかりして、何の事なのか私にはさっぱり分からない。

 ただ単に私の理解力がないだけなのか、それとも二人が最先端を行き過ぎているのか……はたまたどっちもか。

 二人の間に挟まれて、こてんと首を傾げてしまう。

「ねぇ二人とも……何のお話をしてるの?」

 私も気になるよっ……!

 だけど、香耶ちゃんは何故か意味深に笑って話をあからさまに逸らしてしまった。

「何でもないよ~! 菜花は知らなくてもいいからね~。」

「お、教えてくれないの……?」

 そんな……私、すっごく気になるのに。

 ダメ元でお願いしたら、聞いてくれるかな……。

 両手を合わせて、香耶ちゃんに懇願するように視線を向ける。

 ……でも結局、香耶ちゃんは意味深な笑みを浮かべたままだった。

「菜花はまだ純粋なままがいいから、教えてあげないっ!」

 ええっ……!

 頑なに教えてくれようとしない香耶ちゃんに、しゅんと肩を落とす。