ガヤガヤしている廊下を淡々と歩き、校舎のはずれに来る。

 確かこの辺りは……休憩所があったはず。

 自販機や小さなテーブルが置いてある静かな場所だと、前に聞いた事がある。

 その記憶を頼りにして、とりあえず歩を進める。

「あ、あの……は、離してくださっ……」

 ……菜花?

 休憩所に近づくにつれ、話し声が聞こえてくる。

 その声が、菜花のものだった。

「いーじゃん別に。実は俺らね、ずっと藤乃ちゃんのこと狙ってたんだよね~。一緒に遊ぼうよ。」

「い、嫌ですっ……!」

 へらへらした男の声も追加で聞こえ、反論する菜花の声が当たりに響く。

 声色から察するに、菜花は相当嫌がっている。

 ……牽制を、強めておくか。

 ちっと舌打ちをして、男共の腕を掴んで菜花から離す。

「……君たち、何してんの?」

 ま、何をしてようがただじゃ済まさないけど。

 菜花に手出したんだから、死ぬ覚悟くらいはできてるよね?

 そんな独占欲を隠すように、落ち着かせた声でそいつらに言い放つ。