溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 申し訳ない気持ちはあるけど、不思議だと思う気持ちのほうが勝る。

 どうして、こんなに告白されるんだろう……。

 私には何にもない、ただの平凡女子なのに……。

 再びため息を吐き、書き終わった日誌をぱたんと閉じる。

 ……よし、先生のところに持っていこう。

 夕日の色が段々と濃くなり、夜に近付いてくる。

 早く帰らないと、すぐに暗くなっちゃいそうだ。

 そう思い、日誌を片手に持ち椅子から立つ。

 ……その時、教室の扉から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「……あれ、藤乃さんまだいたんだ。」

「っ……!? い、市ヶ谷君かぁ……び、びっくりした……。」

 急に声をかけられたから、つい驚いてしまった。

 慌てて市ヶ谷君のほうを向き、あははと笑ってみせる。

 その瞬間、市ヶ谷君が困ったように苦笑した。

「ごめんね驚かせちゃって。……それにしても、藤乃さん大変だね。いろんな男から告られてるなんて。」

「あ……知ってたんだね。」

「まぁ、風の噂で聞いただけなんだけど。」

 こ、この事も噂になってるの……?

 庵先輩が噂になるのはともかく、私にはそんな要素ないのに……。