「あの……僕と付き合ってください！」

　……え？

　突然、そう言われて戸惑う。

　今私の状態はというと……人目のない廊下で男の子に告白されている、というもの。

　どうしてこんな事になったのかは、数分前の事だった。



　いつものように香耶ちゃんとお話してお昼の休み時間を過ごしていると、廊下から名前を呼ばれたんだ。

「藤乃さんって、いるかな……？」

「あれ？　あの男子、菜花のこと呼んでるよ？」

　香耶ちゃんにそう言われやっと気づき、慌てて廊下へと出る。

「わ、私に何か用ですか……？」

　私を呼んだらしい彼は、全く知らない人。

　きっとクラスメイトではない……けど、クラスメイトともあまり関係を持たないから実際どうか分からない。

　首を傾げて尋ねてみると、何故か彼は少し頬を赤く染めた。

　ん？　もしかして、風邪なのかな……？

　一瞬そう思い、大丈夫かどうかを確認しようとする。

　けれどそのタイミングで、彼からこう言われたんだ。

「藤乃さん……僕に着いてきてくれない、ですか？」