溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 だからきっと、先輩は私のことなんか……。

「菜花、失恋には新しい恋が効くんだよ。」

「え……?」

 いきなり、香耶ちゃんが訳の分からない事を言ってきた。

 失恋にはって……今の私の状態だよね。

 それに、新しい恋っていうのもよく分からない……。

「どういう事……?」

 瞬きを繰り返し、恐る恐る聞いてみる。

 私の問いを聞いた香耶ちゃんは、何やら企んだように口角を上げた。

「それはね……新しい恋をするって事だよ!」

 ……へ?

 新しい、恋……?

 私が言葉を失っている間にも、香耶ちゃんは間髪入れずに話を続ける。

「先輩のことが好きで忘れられない。でもそれじゃあ辛い気持ちのままだよ? だったら誰かと恋をするってのも良いんじゃないかと思ってさ!」

 そ、そういう事……。

 何だか、妙に納得してしまう。

 でも……やっぱり私は……。

「香耶ちゃんの言いたい事は分かったよ。分かったけど……私は先輩だけが好きだから。」

 先輩を好きじゃない私なんて、想像がつかないよ。