溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 か、カチコミ……。

 香耶ちゃんは拳を作って、本当に今からでも先輩のところへと行っちゃいそう。

 香耶ちゃんが私の為に怒ってくれるのは嬉しい。

 だけどそのせいで香耶ちゃんが嫌な目に遭ったら、ダメだから。

「本当に私は大丈夫だよっ。心配してくれてありがとう。」

「菜花は……このままでいいの?」

 ……分からない。

 香耶ちゃんの言葉にうっと詰まり、自分の中で考える。

 私は……嫌だって思う。

 もちろん先輩の気持ちが第一だから、別れたのに復縁を要求するのは図々しい。

 先輩は、私が嫌だから別れたんだよね。

 だから……私も諦めなきゃいけない、のかな。

「やっぱ菜花のことだから忘れられないよね……。菜花、先輩といる時はずっと幸せそうだったもん。」

 私の気持ちを代弁してくれた香耶ちゃんに、小さく頷いて返す。

 先輩といる時は、すっごく楽しくて幸せだった。

 あの幸せが忘れられないくらいには……先輩への気持ちがある。

 でも、先輩はもう……ないよね。

 連絡には既読はつくけど返信はない。別れてからは一回も先輩と会っていない。