溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

「菜花行くよっ!」

 先輩の姿を眺めて勝手に傷ついていたら、ぐいっと香耶ちゃんに腕を引かれた。

 そのまま校門を通り過ぎて、人気のなさそうな道で私の腕を離した香耶ちゃん。

 ……心配、かけちゃった。

 香耶ちゃんの表情は今にも怒り出しそうなもので、憤りを抑えきれていない。

 さっきの見て、香耶ちゃんは分かったんだと思う。

 私が……先輩の姿を見てしんどくなったのを。

 だからこうして、無理やり連れてきてくれたんだ。

 やっぱり……香耶ちゃんには感謝してもしきれない。

「菜花、さっさと喫茶店行こ! ケーキ全制覇目標!」

 ぜ、全制覇……そ、それは無理なんじゃないかな……。

 金銭的にも時間的にもお腹的にも……あはは。

 香耶ちゃんの張り切った言葉に苦笑いを零すも、それが香耶ちゃんの気遣いだってすぐに分かった。

 香耶ちゃん……私を不安がらせないようにしてくれてる。

 さっきからずっと、香耶ちゃんに助けられてるなぁ……。

 すぐに立ち回ってくれて元気づけてくれて、気分転換だと言って相談に乗ってくれようとしてくれている。