溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 学校を振り返った途端に視界に映った、庵先輩。

 先輩は女の子と何かを話していて、二人とも楽しそうに見えた。

 ……ズキッと、心臓が痛む。

 もう私は先輩の何でもない。何でもない、のに……。

 先輩はモテるから、誰かと付き合うんだろうな……。私じゃ敵わない、誰かと。

 私より可愛い女の子はこの世界にごまんといるから、私なんて見向きもされない存在のはずだ。

 今でも、先輩が告白してくれた理由が分かっていない。

 付き合っている時、先輩に何回か尋ねてみたけど結局教えてくれなかった。

 だけど今考えると……聞かなくてもいいかな、なんて思う。

 だって私はどこにでもいる平凡女子。そんな私と付き合ってくれたのは、きっと一時の気の迷いだ。

 私より別の女の子のことが好きになったから、きっと別れようって言ったんだ。

 先輩はそんな事する人じゃないって自分が一番よく分かっているのに、つい嫌な方向へと考えてしまう。

 ……考えれば考えるほど、自分に自信がなくなってくる。

 先輩の気持ちが、分からないよ。