溺愛したい彼氏は別れても、溺愛をやめたくない。

 何か反抗すれば、躾と言って殴られる事もあった。

 愛に飢えていたからこそ……菜花をめいっぱい愛したいと思った。

 心の底からそう思ったのは初めてで、菜花以上に好きな奴なんて現れない。

 ……だから、自分の無力さに嫌気を感じた。



 はぁ……菜花と連絡、取りたい……。

 あれから菜花はめっきり連絡をくれなくなった。

 勉強に追われ、スマホを確認する時間も取れない。

 しかもスマホは常時監視されていて、迂闊に連絡する事もできなかった。

 こんなの、最悪だ……。

「怖い顔してんね。庵は本当に菜花ちゃん大好きなんだから。」

「……黙っとけ。」

「おー、こわ。」

 今、俺にうざいくらい構ってきているのは幼馴染の仙國愁人(せんごくしゅうと)

 幼馴染というか腐れ縁のせいで、ずっとこいつとは一緒だ。

 年々うざさは増しているが、理解のある奴だと信頼はしている。

「というか、庵は良いの? 別れるまでしなくても良かったと思うのに。」

「こうして線引きをしないと、菜花に会いに行ってから一生菜花と会えなくなる。」